2024年02月26日,03月01日

2月26日・月曜日。晴れ。日差しはあるが、寒風強く、体感温度は低い。
一週間前から、『平家物語』(一)(杉本圭三郎・講談社学術文庫・2017・全四冊)を読み始め、ようやく二百頁ほど進む。原文、現代語訳、語釈、解説がふされ、原文の何倍にも膨れ上がり、各冊七百頁ほどになる。いつか読もうと、大分前に購入したものだが、今挑戦しなければ手遅れになると手を付けたはいいが、文字が小さく老眼鏡が役に立たない。やむなく裸眼で読んでいるが、かなり辛い。解説がなければとても読めない。だがその労苦をしのぐ面白さがある。願わくは、命ながらえ、我が眼球の保たれんことを。平家の人々と共に神仏に祈る。
3月1日・金曜日。晴れ。昨日の朝日夕刊に、オホーツクの流氷、知床半島羅臼に接岸す、とあった。その光景は例年通りながら、流氷の面積はこの30年で3割縮小し、氷質も劣化しているようだ。それによる周辺海域も少なからぬ影響を免れない。これもまた温暖化の故と言う。

承前。前回の文章に手を入れつつ、読み直してみたが、大いに不満である。言いたいことが書けていない。文章から浮かぶ映像がぼやけている。脳の働きが、最近、さらに鈍ってきたらしい。ならば、抹消すべきだが、一度表に出したものは、そうはいかない。これをわが現実として受け入れ、先を進めよう。といって、こんなものを読まされる読者には申し訳ないと、先に謝っておこう。
前回の筆者の言い分は、もはや危機的ですらある温暖化に対して、自治体はまず地域の緑化を進めるべきである。と言うのも、それが取りあえず最も効果的であり、費用対効果も高いと信ずるからである。樹陰、水蒸気の発散、酸素の供給は言うに及ばず、大地の保護から多様な生物の育成など、樹木のもたらす恩恵は計り知れない。だがそのためには、街の作り方を根本的に変えなければならない。経済成長との衝突も覚悟せねばならないはずだ。それは結局、成長を止めて温暖化を阻止するか否か、という国民の温暖化に対する対峙の仕方、覚悟の問題に帰着するだろう。これは明日の国造りの問題であり、こうして国と自治体は、一続きに繋がっているのである。
温暖化の進行について、我われはこれまで多様で深刻な兆候をいやと言うほど見せつけられていながら、政治や行政が本気になって対応すると言う話を聞いたことがない。これらに対する危機意識がまったく欠落しているからなのだろう。Co2排出を抑えた経済発展によって、この問題は自動的に解決される。そのために、自動車のEV化、原発稼働や自然エネルギーの推進等が叫ばれているのだろう。だが、こんなことで、ただ今現在直面している温暖化問題に対応できると考えるほど、事は容易ではないと言うのが、当方の主張なのである。
だが以上は、日本だけの問題では無い。世界の潮流でもある(ただし、一部のヨーロッパ人の危機意識はより尖鋭である)。先進諸国の政治家たちは、一様に「持続可能な経済発展」(だが成長主義は、結局は環境破壊とセットではないのかという主張が、最近、何人かの経済学者や環境論者から説かれている)やら成長神話から決別できていないからである。と言うより、彼らにこれを望むのは、現在の政治制度の下では、不可能なのかもしれない。「環境維持や将来世代のために、成長戦略を止める」と言ったとたんに、彼は落選する他はないからだ。3~4年の任期を重ねて勝ち抜いていくために、常に眼前の利益を追求せざるを得ないが、環境問題は長期的な視座を必要とする。これは、しばしば今日明日の利益の犠牲を強いるだろう。このことは、米国の銃規制の挫折の歴史に重なるように思う。銃社会の危険性は十分わかっていながら、規制は自らの失業、貧困を思えば、反対せざるを得ないという分けである(過日の報道で、トランプは公言していた。再選されれば、バイデンが取ってきた銃規制は、全て撤廃する、と。その政治的な意味は言うまでもない)。
我われ人類は、つまるところ、それが可能であれば、いつでも目の前にある快適さを求めてやまない存在なのかもしれず(ここには勿論、筆者もその一人である)、そうした果てしない強欲の追及にきりきり舞いさせられなければ止まないものなのだろうか。その結果が、地球の陸、海、空の全面を覆う荒涼とした破壊をもたらしているにしてもである(過日(2/25)のニューヨークタイムズには、またもや温暖化により、欧米ではこれまで見られなかったデング熱の発症が拡大しているとの報があった)。
以下の記事は、こうした我われの救いがたい欲望の凄まじさと、それが周囲の環境に及ぼす破壊力を具体的に示した実に衝撃的な事例である。題して「ドゥバイの高価な淡水世界」、「豪勢な観光アトラクション、ペルシャ湾の自然資源痛撃」(ニューヨークタイムズ、’23,11/23)である(以下次回)。


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