2023年09月04,11日

9月4日・月曜日。曇り時々雨。暑さやや緩むが、台風の影響で、蒸し暑い。本日は前回の続きを扱うところ、急遽、以下のような問題になった。 
9月11日・月曜日。晴れ。依然として猛暑。本日は前回の文章にやや手を入れ、一段落を加えた。それが良かったか、悪かったか。

過日の原発処理水の海洋への放流が、特に中国政府から、太平洋を下水道化するなと言う激烈な指弾を受け、日本からの水産物は全面的な輸入禁止に追い込まれた。全国の漁業関係者には、衷心よりの同情を禁じ得ないし、政府の手厚い対策は当然である。
かの国の難癖、言いがかりには、今さら驚く身ではないが、ここではただ一点、お伺いしたい。日本近海の魚はすべて「汚染」されているというのだから、諸君らは自らの健康を考えれば、尖閣はじめ近海での漁は全面的に禁止されるのであろう、と思料するが如何か。それとも、諸君らの漁(すなど)る魚貝はすべて安全のゆえ、日本近海の漁は平常通り行われるのであろうか。その場合には、我が国の排他的経済水域から出た魚介類は、その時突然、安全になると言うことになるが、諸君はそうお考えなのであろうか。であれば、公海上の日本漁船による魚貝も安全でなければならないが、それは日本船によるものだから汚染されている。それ故、これは輸入禁止の対象になる、というのだろうか。
こう辿ってみれば、中国政府は処理水による魚介類の汚染など、まるで心配していないことは、ハッキリしている。彼らは、近年の日本政府による対中国外交政策が不快でたまらなかった。クワッド(米日印豪)や米日韓の連合の強化、さらにはNATOとの連帯等は、地球規模での中国包囲網に見え、これを放置することは出来ない。これに何とか一矢を報い、打破する道はないか。この度の水産物の全面禁輸策は、そうした中国外交のカードの一枚に過ぎず、この点は、すでにあちこちで論じられていることである。我われはこれを、また始まった、くらいに考えていれば良いのである。
それにしても、この度の中国政府の対応に対する日本政府の狼狽ぶりはどうだ。何かやるとは思っていたがこれほどになるかと嘆息し、まさに「想定外」の事態に直面させられたと言うのには(朝日新聞8/25・金)、甚だ心もとない。台湾のパイナップル、オーストラリアの鉄鉱石等に対する理不尽で、なりふり構わぬ報復的輸入禁止策はかの国の常套手段ではないか。外国からの自分たちに対する不都合な対策には、経済問題を政治化するなと声高に叫びながら、彼らこそ自国の巨大市場を盾に取り、そこに組み込まれて今更撤退も出来なくなった相手国に対して、政治的強権を駆使して、容赦ない禁止策、脅迫を振りかざし、自国の要求を有無を言わさず飲ませるのは、重々承知のはずではなかったか。
それを今更想定外と言われては、わが政策当局は、一体、中国と言う国をどう考えていたのか。まさかそこまではやるまいと言う、中国政府に対する信頼、と言うより甘えがあったのかと不思議でならない。だが、自らの間違いは、国民に対しても、世界に対しても絶対に認めないばかりか、悪いのは常に相手側なのである。明々白々の事実を突きつけられても、常に悪びれない言い訳と誤魔化しが用意されている。であれば、どれほどの理不尽も平然とやってのける、それが中国政府なのではないか。
誤解してもらっては困るが、筆者はその国民を非難しているのではない。国民レベルで言えば、中国人、日本人に変わりがあろうはずもない。同じように、善人もいれば、悪人もいる。しかし、国家としての中国は別である。我われはそういう容易ならざる国家を隣人として持っているのである。そのことを骨の髄まで悟りきり、交易はその覚悟の上で行わなければならない。筆者は露国に対しても同様に考えているが、そうであれば、そこから引き出される結論はこうなる。両国に対する経済的な依存性は徐々にうすめ、出来るだけ関わらなくともやっていけるような経済・政治体制を世界と共に築き上げていくことだ。両国に対する甘い考えは、我が国の安全保障及び経済的利害を根底から危うくするものだと覚悟すべきなのである(この項終わり)。


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