2023年03月13,20,24日

3月13日・月曜日。雨。

3月20日・月曜日。晴れ。

3月24日・金曜日。雨。前回の文章の多少の加筆、訂正であるが、筆者としては、重要な訂正であったと、あえて付言しておく。

昨日、朝日新聞・夕刊(3/23)でウクライナに侵攻した露軍が多数の子供(16,000人とか)を強制的に連れ去り、ロシアの愛国歌やロシア教育を強要したとの記事を読んだ。暴力的に親元から引きはがし、ロシア化を突き進めようとするロシアと言う国の冷酷さに、言いようのない怒りを覚える。子供たち1人ひとりの今後の人生を深く思わざるを得ない。そして、ロシア国民は自国の犯すこうした全ての残虐蛮行にたいして、今後百年単位でその責めを負わされるであろう。それは、独、日が今なお周辺国に対して負う責苦と同じである。プーチンは、この件により国際刑事裁判所から逮捕状を発行されたとある。

 

 

ほぼ3週間ぶりの「手紙」である。前回申し上げたように、この間のわが身辺は多忙を極め、本日、ようやく出社した次第である。いまだ処理すべき用件も残っているが、それらは追々片づけることにして、まずは職務に戻りたい。と言って、長い中断の後でもあり、以前取り上げようと思っていた問題への関心は、すでに消え失せ、今にわかに話の接ぎ穂も思いつかないとは、困った。

このところの筆者の関心は、あれこれあるが、主としてロシア・ウクライナ戦争にある。両国のそれまでの歴史的な経緯はどうあれ、1991年、ソビエト連邦の解体と共に、他の連邦構成国と同様、ウクライナもまた国家として独立し、世界もそれを承認した。そうした事実がありながら、プーチンは様々理屈を捏ね上げては、同国の独立に異を唱え、ロシアとの歴史的、文化的な一体化を盾に従属を強いて、現在の戦争にまで突き進んだのである。

筆者がこの戦争を扱おうとするのは、何よりも露国に対する怒りである。こうした感情を根にもつ文章が学術的に客観的になり得ないことは承知の上である。だが、核や大量破壊兵器を持つ大国が、その使用をちらつかせ、他国の介入をけん制しつつ、国際的に承認された独立国を理不尽に蹂躙し、あらゆる暴虐を犯して制止もされない。それどころか、中国はじめ世界の一部は露国を支援しているようにさえ見える。かくて露国への経済制裁は「隙だらけ」(朝日新聞2/20)となり、その継戦能力は維持され、悲惨の度は果てしのないものとなっている。

これまでを見る限り、我われは、強大な破壊力を持つものは何をしても構わないという、そうした世界を見せつけられているようである。これはかつてホッブスが説いた「弱肉強食」の世界だが、当時と現在では比較も出来ない軍事力を思えば、人類は今や自らの生存、地球の存続をすら心配しなければならない場所に立たされた。暴力がすべてを決するとすれば、強国は互いに競って、際限なく火力を高めあうからだ。

さらに我われ人類は、現在、地球全体の気候・環境問題が、切羽詰まった課題として突き付けられているのである。見ようによっては、こちらの方がはるかに困難な問題であるに違いない。戦争は人間の意思によって起こる。ならば、その意志によって止めることができるはずである。だが、自然はそうはいかない。しかも、自然が一たび荒れ狂えば、人力では手に負えない破壊力を持つことは、10年前の大震災で思い知らされたことである。とすれば、ウクライナ、台湾に対する一権力者の領土欲、国家の面子など取るに足らない小事に過ぎない。このまま現在の戦争がさらに進行し、経済的乱開発もまた地球規模で突き進めば、間違いなく、地球それ自体の存続が危うくなるからだ。過日、国連事務総長グテーレス氏が「気候の時限爆弾」の針が進むと言って、温暖化に対するのっぴきならない深刻な不安を表明したのもそれであった(朝日新聞・3/21)。

以上、筆者の不安をあれこれさらけ出して見た。そこで、元に戻って、これまでのわがウクライナ報告だが、主に朝日新聞、ニューヨークタイムズの折々の現地報告に依ったものであり、それらは多分にわが心情に即したものに偏った向きも無いわけではなかった。その意味で、これらはわが偏向報告になったかとやや気にしていたが、この休載中に読んだ小泉 悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書2023/2刊)により、大筋ではそれほど間違ってはいないような印象を持った。興味のある方は、一読されたい。

 


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