2022年07月01,04日

7月1日・金曜日。晴れ。6月末の一週間連続の猛暑日は、記録的な事らしい。先月だったか、インドでは酷暑による死者が出たとここでも報告したが、異常である。しかもこれは、今年に限ったことではなく、年々厳しくなるはずで、早急に地球規模での温暖化を阻止しなければ、生態系は急速にくずれて、弱い生物から順次死滅するだろう。それはさながら、天から火が降るとの「ヨハネの黙示録」のようではないか。

7月4日・月曜日。曇り。本日、蒸し風呂のごとし。迫りくる台風の影響だと、予報士は言う。

丸腰のウクライナ市民に対して、「不眠になった多数の兵士が襲い掛かるが、彼らにはどんなルールも当てはまらない」。こうしたロシア兵の心理状況には、人権教育の欠如とは別の、何か特有のものがありそうなのである。

かつて、露軍の心理学者として勤務したことのある一ジャーナリストは報告している。すでに言ったように、部隊内での部下に対する暴力は言うまでも無く、それとは別に、兵士は自らが守るべきロシア市民に対する虐待もまた日常的であったと言う。例えばこうだ。列車で、部隊と共に長距離を移動した折に、車内の老婦人が携えていた鶏料理を、兵が奪い取るさまを目の当たりにしたのであった。「一事が万事」の言葉のとおり、この一事はたしかに露軍のある側面を如実に、示すものであるだろう。

露軍がウクライナから撤退した後は、その一帯には目ぼしいものは何も残らないとは、外信のしばしば伝えるところである。最近では、ウクライナに備蓄された2千トンもの小麦が略奪され、ロシア産として輸出されたと聞く。これらの情報には、ウクライナによる反ロシア宣伝の一方的な報道に過ぎないものも含まれているのかも知れない。

しかし、ロシアから発せられる情報は、露軍の犠牲者数やその戦争犯罪的な残虐を含めて、すべて「西側の謀略」と否定し、多方面から伝えられる情報と比べてあまりに齟齬が大きすぎる。この一点からも、ロシアの主張には信頼すべきものは何もない、というよりもむしろ、平然と巨大な嘘を吐き続けられる国家だとの印象を、世界が持っても不思議ではあるまい。これらは、ヒトラー政権が取った戦術とまさに瓜二つである(テイラー前掲書『一九三九年』を参照されたい)。

ともあれ、露軍、そしてこれを指揮するプーチン政権の行動原理は、誰に対してであれ、強ければ何をしても構わない、と言うようなものに見える。ロシア政府や軍に対する批判や抵抗は、すべて暴力で黙らせる。最強の米国や世界に対しても恐れる素振りはない。「核の使用」を持ち出せば、世界は黙ると見ているからであろう。軍の弱者に対する暴力的な行動は、歴史的に染みついた軍の体質的な「特徴」なのかも知れないが、同時に露軍が民主主義国家の軍隊ではなく、プーチンという独裁的な大統領の下に置かれているという政治体制が、その特徴を一層強めたと見られないであろうか。とすればそれらは、そうした政治体制を許したロシア社会が生み出したことではないのか。では、現在のロシアとはいかなる国家なのであろう。菊池務氏(青山学院名誉教授)によれば、露国は「近代国家」以前のロシア「帝国」なのである(朝日新聞6/4/土)(以下次回)。

 


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