2022年06月03,06日

6月3日・金曜日。豪雨。このところ連日、正視しえないウクライナの惨劇、欧米の対ロシア制裁の乱れや、南洋諸島での中国の暗躍、コロナ禍の暗いニュースばかりにくわえ、今読んでいる本が『暁の宇品』(堀川恵子・講談社)である。太平洋戦争直前から終戦にいたるまで、参謀本部の無慈悲、無謀、無責任な作戦の強要をうけ続け、2,3千人の兵を乗せた一万トン級の輸送船が、護衛もなく、太平洋上で次々海の藻屑となる陸軍船舶輸送のこれまた悲惨な物語(過日、読了)。かくて我が疲労さらに極まり、精神衛生上すこぶる悪い。
6月6日・月曜日。雨。関東地方、梅雨入りとか。この時期には珍しい冷雨であり、季語で言えば、梅雨寒か。

露軍が丸腰のウクライナ市民に犯した惨殺、レイプ、拷問、略奪といった、地獄さながらの数々の残虐行為に、世界は目を剥き、震撼させられた(その詳報はニューヨークタイムズ5/24・火にもある)。これを目の当たりにしたドイツ政府が、従来の対ロ親和政策の転換と共に、即刻ウクライナへの武器供与を決断し、その抑制に動かざるを得なかったほどである。なぜかほどに凶暴でありえたのかと訝るが、ニューヨークタイムズ(4/19・火)は「ウクライナでの残虐行為の根は深い」として、今回の露軍の侵略行為に光を当てた。以下、これについて簡単に触れてみたい。
記事によれば、戦闘の残虐性には、2種類あるようだ。1は作戦計画に基づいた、部隊や市民の戦意喪失を目指した攻撃に発するものである。これはこれで、今回も見られたように、軍事施設ばかりか病院、学校を含めた市街全域におよぶ徹底した殲滅戦であり、こうして敵国の戦意喪失を目指すわけだから、市民生活への侵害・破壊は計り知れない。
2は、軍組織による軍事的攻撃と言うよりも、各兵士や各部隊が軍の作戦から逸脱し、市民に対して勝手に犯す個別的な残虐である。ここではしばしば、軍としての統制は消滅し、圧倒的な火力を持つ、凶暴な強盗集団に成り下がる。ブッチャでのそれは最たるものであろう。とは言えこれらの残虐は、露軍のみのことではなく、ベトナム、アフガニスタン、イラク戦争での米軍でも見られたように、あらゆる戦闘に付き物であるようだ(我われは、日本軍の南京虐殺の例を忘れてはならない)。そして、そうなる原因は、建軍の経緯やその文化的資質、軍事教育、軍兵士の戦闘上のストレス、故国での生活上の不満・抑

圧、敵国の危険や悪逆に対するプロパガンダ等が折り重なって、眼前の無抵抗な敵国市民に対し一挙に吹き出るようだが、その説明は中々難しく、一概にこれと言い切ることは出来ない(以下次回)。


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