2020年9月11,16日

9月11日・金曜日。晴れ。清涼な秋空いまだし。

9月16日・水曜日。曇り。このところやや涼しく、夜間のエアコンを止める。

 

本日は急遽予定を変更し、現在、我が国の諸大学が取り組んでいる授業等のオンライン化と今後の大学像について、筆者なりの予想を示してみたい。というのも、このオンライン化には、とりわけ都市型大学の存立にとって極めて重大かつ深刻な意味が潜んでいると思われるからである。

すでに述べた通り、筆者は、25年前、コンピュータという情報機器が惹起する大学の教育・研究に対する変革力、さらには大学制度の根幹それ自体に及ぼす影響力について拙論(本文書は、今年、6/19・(金)の本欄に全文掲載済みである)をものしたことがある。その文書で示された一部は、ただ今現在、確かに現実のものとなった。さらに、そこで論ぜられた論題の延長線上に、最近手にした情報から、筆者なりの近未来的な大学像が浮かび上がってきた。それゆえ、以下は先の拙論の続編、ないし補足である。

2014年、米国サンフランシスコに、ミネルヴァ大学が全寮制の4年生総合大学として開校された。但し、本学には特定のキャンパスが無く、学生は4年間で世界7都市に移住しながら、オンラインで授業を受講する点に最大の特徴がある。

授業形態は教員による講義形式を取らず、1クラス19名を上限とする、恐らくオンライン上のセミナー型であり、学生同士のディスカッションが中心となって進行する。全授業は録画され、音声は自動筆記により直ちに文章化されることから、講師からのフィードバックは迅速確実であり、授業の反復見直しと共に、学びの深化が図られる。くわえて、毎講義ごとに出る5段階評価によって、学生はそのつど自身の理解度を突き付けられることになる。因みに、初年度の入学合格率は2.8%であった。その事もあってか、「ハーバード大学以上の難関」校との評価もあるようである。

このミネルヴァ大学に日本人として初めて入学した日原翔氏は、大学の魅力をほぼこう語っている。自由を重んじるミネルヴァでは、授業以外の時間は完全にフリーであり、自らの関心に応じて生活圏を広げ、能力を磨く。授業は「必要な知識は各自で事前に学んできていることを前提としたディスカッション形式」のため、その準備は確かに大変そうだが、それもセルフマネージメントとして楽しめばよい。場所的制約の無いオンライン授業では、パソコンとインターネット環境があれば、地球上のどこからでも授業に出席できることから、外国の重要イベントに直接参加しながら授業をこなす離れ業も可能である。現にそうした学生もいたそうだ。

1学年のカリキュラムから、本学の学びの特徴が見て取れる。一言で言えば、「思考習慣と基礎概念」の涵養にある。「ある問題にぶつかった時にすぐにその問題そのものに取り組むのではなく、その問題の背景にはどんな文脈があって、どんな人たちが関わっていて、そこにはどんな力関係があるのか、そういう細部にまで目をむけるというような。」そうした思考訓練は、「ミネルヴァ独自のカリキュラム」の中で徹底され、注意すべき視点は「全部で100以上の項目からなっている」。ここには、筆者には今一つハッキリしない部分もあるが、学生は、取り組む問題を、できるだけ幅広い文脈に位置づけながら、人からただ教えられるのではなく、自ら思索を深め、どこまでも本質に迫ろうとする、そうした視野と思考力を身に付けるように訓練されている。そのように理解される(以上は、フリー百科事典『ウィキペディア』及び『i✕キャリアコンパス https://ix-careercompass.jp/article/822/』を参照した)(以下次回)。


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