2024年09月25,27日

9月25日・水曜日。雨。一週間前のあの暑さが懐かしいような肌寒さである。思わずジャケットを羽織る。そんな折、買い物で傘を失くす。大ぶりの日傘兼用で、杖代わりとしても重宝していた。嗚呼、ッと強く地を蹴る。支払いの際、カウンターに掛けたのが不味かった。店を出、ハッと気づいて戻りかけたところ、出口で傘を手にする爺さんを見、ヤラレタ、と覚悟した。念のため、料金所を見てみたが、やはり無い。現行犯ではないし、見逃すほかないが、深い恨みと呪いの念を送ってやった。そして、悪事はどんなに上手くやったと思っていても、こうして誰かが見ているからなと、わが身にとくと言い聞かせたところだ。ご用心あれ。

9月27日・金曜日。雨。

承前。まず、陰惨な諸事実とはどういうものか。機体から放り出され、かなりの範囲に四散した遺体の内の何体かが激しく炭化し、まるで二度焼きされたような状態であったことである。これには、現場に立ち会った多くの医師、地元の消防団員が、ジェット機の燃料とはこれほどの燃焼力なのかと一様に驚かされた。だが、実のところ、ジェット機に使用される燃料は、安全性への配慮もあってであろうか、ガソリンとは違い、揮発性の低いケロシンという灯油に近い種類のもので、とても人体を一瞬にして焼尽くすような火力はないという。ましてや、湿気の高い夏山で、腹も背もカリカリになるようなことが、どうすれば可能なのかと訝かられた。

事故現場では、今でもその気になれば、事故の残骸物が発見できるらしい。であれば、当時はなおのこと、墜落事故の「真相を語る」「遺物」の発見に事欠かなかったであろう。そんな一つとして、著者は上野村村長から、「いつの日か大学などの研究機関で成分の分析をしてほしい」との言葉が添えられた、ある「塊」を手にする。それは不気味というより、「必死に語りかけてくる「何か」を感じざるを得」ない物体であり、一見、「複雑怪奇な形」をした「マグマが固まって冷めた岩」のようなものである。これを、世界的に権威のある金属材料の研究者によって、成分分析される機会をようやく得ることが出来た。

その結果は、実に驚くべきものであった。ここで結論だけを記せば、こうである。一見、岩石とみられた塊は、「金属がドロドロに溶け」て固まった物質であり、アルミ合金の可能性が高く、事故現場から発見されたことから、それは墜落機の残骸物とみる他はない。塊の表面に付着する「黒い物質」の成分からは、大量のベンゼンが検出された。これはガソリンには含まれているが、当時の民間航空機の燃料にはまず含まれないものである。くわえて多量の硫黄分他多くの成分も検出され、これらが合わさり「黒い部分」が構成されたと推定されるが、いずれにせよこれらはジェット燃料とは全く異質の素材であることは疑いない。先にも言ったが、ジェット燃料には金属をドロドロにするような火力はないからである。そして、著者は検出された諸成分から、非常に強い火力、たとえば火炎放射器に類する何かがが使用された可能性を指摘するのである(以下次回)。


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