2025年04月14,18日

4月14日・月曜日。晴れ。この一週間、トランプ関税砲の炸裂で、世界の株式市場は恐慌状態に陥り、多くの悲喜劇を生んだであろう。その結果のすべては、市場参加者の自己責任と言うほかないが、そうとは言えない悲劇もあった。昨日読んだニューヨークタイムズにこうある。原料を中国から輸入し、その完成品を中国に輸出する事業者は、輸出入のダブルで関税に見舞われる。特に米から輸出される完製品には、中国から125%の関税を免れず、市場競争力を失って事業の断念に追い込まれた。彼には他のルートを新たに開く余力がないからだ。イェレン前財務長官によれば、米中の経済は相互に絡み合い、もはや切断不可能な段階にあると言う。であれば、こうした中小の事業者は無視しえない数になるだろう。米国政治の今後は、中間選挙を待たずして対立と分断の坩堝と化す。その結果、米の世界に対する影響力も弱まり、今見せつけられている世界の混乱は一層激化するのではないか。これまで何とか保たれてきた世界秩序のタガが外れて、人類は途轍もない悲劇を見ようとしているのだろうか。

4月18日・金曜日。晴れ。早やくも夏日。今後が思いやられる。4月13日、「頼れる知日派重鎮」と知られるアーミテージ氏が亡くなった。トランプ政権との交渉のさ中にある我が国にとって、大きな痛手であるに違いない。そのような人が、こんなトランプ評を漏らしている。「トランプ氏はビジネスマンではない。ビジネスマンは長期戦略をもって仕事をこなしていくが、彼には戦略などない。ただ目先の契約でもうけることしか考えていない」(朝日・4/16)。まったく同感だが、その彼を戦略家と称える識者なる人びとが、我が国でも引きも切らないのには、何とも理解しえない。

承前。先にホープレヒトの下水道案はヴィーべをひっくり返したような構想であったと言った。その特徴は彼自ら名ずけた「放射システム」、あるいは後にジムソンが「積み木箱原理」と称した呼び名の内によく示されている。ヴィーべ案では、都市の汚水を一続きの下水道に収容し、それを最終地点にまで導いて河川放流すると言うものであった。これに対して、ホープレヒトでは、市内の下水道は放射状に市外へとのばし、汚水は市周辺域の農地にそのまま灌漑される。つまり排水は一点集中でなく、灌漑分散方式であった。ただこの下水道は、雨水、生活雑排水を取り込み、混合下水道であり、それによって屎尿汚水はかなり希釈されることを見込んでいる。ここに放射システムのイメージが、何となくお分かりいただけようか。

そして、これが特に積木箱原理と言われるのは、ある地域の下水道は河川や台地、あるいは運河等の地勢、地形的状況を生かし、あるいはそれに応じて造られ、他の下水道系から分離・独立している。つまり各下水道系はそれぞれブロック化されているのであり、B市の下水道はその集合体から成り立つからである。

この積木箱原理のメリットは、下水道線を短縮でき、しかも十分の自然流速が確保されるから、屎尿汚水を道内に滞留させることはない点にあろう。それは地中深く掘り進めて建設する必要を免れ、建設費の大幅な縮減が図られる。ホープレヒトはそれを簡単な図表で証明している。

以上を、一続きの長大な下水道建設と比較すれば、その利点は一層明らかである。その場合、下水道線は深くなりがちだが、ついにはそれ以上の建設は技術的、経済的に困難になる。そこでポンプによる揚水が余儀なくされるが、それに要する建設費やランニングコストも容易ではない。実際、B市のように平坦でありながら、それなり起伏もあり、また河川、運河で深く切り込まれた地形にヴィーべ案を採用すれば、その下を潜り抜ける下水道には随所にポンプ施設の建設が必要となろう。だが、ホープレヒト案ではそれらはすべて免れるのである(以下次回)。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です