2025年03月07,10日

3月7日・金曜日。晴れ。久しぶりに陽をみる。ただし、強風。冬がこうして押し出されていく。前回の文章、かなり修正した。

3月10日・月曜日。晴れ。本日は予定を変えて、下記の文章を送る。

それにしても、このところの報道には暗澹とするばかりである。米大統領のカナダ、メキシコへの理不尽な言いがかりと強圧はもとより、ウクライナに対する姿勢は、まともな外交ではない。まるでヤクザの強請りだ。英語ではそれをprotection racketと言うとは、ニューヨークタイムズで初めて知った。辞書には「見かじめ料」の訳語もある。広辞苑では、「暴力団が、飲食店などから監督・保護の対価と言う名目で取る金銭」のこととある。

周知のように、ゼレンスキーがロシアの侵略に対する自国の安全保障を強く要請したのに対し、トランプは最後までその確約を与えず、結局、両者の対談は決裂し、ウ大統領は追放されるようにして、ホワイトハウスを跡にした。その対談で、トランプはウ国に眠るレアアースの50%を譲るよう持ち掛けたようだが、ゼレンスキーがそれをそのまま飲めるはずもなかった。

米記者がトランプに訊いた。米国は何故レアアースを手に出来るのか。ウ国の安全はどう守られるのか。これに対する答えはこうだ。これまで米国がウ国に送った武器弾薬ほか戦争遂行のために払った膨大な支出の回収であり、多くの米国人が採掘のためウ国に滞在すれば、ロシアは攻撃出来ない。それが最大の安全保障だ。

実体のない、ヤクザ紛いの「監督・保護」という保障と、だが利得だけは逃すまいとする彼の言い回し=ディールは、まさに「見かじめ料」の名に恥じないだろう。こんなやり取りを、米国大統領が臆面もなく世界にまき散らしたのだ。米国人はこのことを拍手喝采できるのだろうか。

ここで一つ言っておきたい。ウ国は今日まで無償で米やEUから軍事支援を得てきたのか。米やEUがそれほど人道的で善意に満ちたお人好しとはとても思えない。ロシアに隣接するバルト三国等の諸国は、ウクライナの今日は明日のわが身と、深刻に捉えればこそ、ウ国を守護すべしと、国力を越えた支援を惜しまなかったのではないか。米国とて同じだ。露国の国際法を無視した侵略を放置すれば、世界秩序の崩壊であり、それは直ちに米国の安全を損なう。よって周辺国はウ国を支援し、他方ウ国は気の遠くなるような命の犠牲を払い、無数の破壊を引き受け、欧州の破壊を一国で守って来た。これを思えば、米、EUの支援はあまりに少なく、中途半端であった、と筆者は非難する。この度の戦争は、プーチンの独りよがりの妄想から起こったことだ。その経緯については、ロシアの国外逃亡者、ゲッセンがニューヨークタイムズに寄せた寄稿論文(3/3)「プーチン、世界を切り分ける準備整う トランプ そのナイフを彼に与える」からも多くを教えられる。

トランプは、ウクライナには初めからロシアに対抗するカード(戦力)が無かったのだから、その言うとおりにしていれば戦争は起こらなかったと言っている。これが正義だと言うなら、これからの世界は「弱肉強食」の世界となり、各国はいやでも武力増強を目指すほかはない。それは結局、最強国である米国内においても同じ論理が支配し、国民は強者の餌食となって、幸せにはなれない。米国民よ、それで良いのか。とくと考えよ。

天に満つ ゴルゴよ癌よ 疾く来たれ  よみ人知らず


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です