10月11日・水曜日。晴れ。
10月13日・金曜日。晴れ。
10月16日・月曜日。晴れ。過日、将棋界では藤井八冠の誕生を見、かつて筆者もその世界のほんの周辺にあった者として(現在は、そこから完全に身を引き、愛棋家の一人である)、何か一言あるべきであろうが、今はそんな気の利いた言葉も思いつかない。ただ、達せられた偉業には、誰しも目もくらむほどであることは間違いない。ひとは、これ程の高みに達せられるものなのかと、改めて畏怖する。
本日は前回の文章、特に末尾を改めた。
温暖化が地球全域に与えている、容赦ない様々な惨害については、ここでも折に触れて報告し、人類は一刻も早く団結し、これを押しとどめる有効な対策を地球規模で実施すべきことを訴えてきた。しかもそれは、本音を言えば、そうした対策はもはや時期を失し、何をしようと無駄ではないのか、という不安に絡みつかれての訴えであった。筆者からすれば、事態はそれほど切羽詰まったものであるにも拘らず、世界の指導者はそんな危機には目もくれず、自国の利益、覇権の追求に狂奔し、そのためには通常兵器を超えて、いざとなれば大量破壊兵器や核兵器の使用も辞さずと言っているのである。ではここで、改めて尋ねたい。地球上の生命体の全てを危うくさせる熱暑、砂漠化、氷河の崩壊、凶暴な台風、海面上昇、地球規模の山林火災等を日々眼前にして、国家的覇権、経済利益に何の意味があるのだろうか。
しかも、温暖化対策の切り札の一つとして、目下、世界は自動車のEV化に躍起となっているが、そのため半導体はじめ畜電池その他の生産に必須とされるレアメタル等原材料を求めて、地球のあちこちは広大かつ地中深く抉られ、特にアフリカでの乱開発の規模をみれば、目もくらむばかりである。それは同時に、環境破壊と共に、温暖化をさらに急進させることになるはずだ。かりに走る車のCO2は削減出来ても、それ以前のこうした問題を考慮する必要はないのだろうか。
だが、大地を掘り起こし、石油、鉄鉱石などを採掘すれば、地中に眠るCO2や細菌、ウイルス類を解き放つことは、すでによく知られた事実である(例えばマクニール『疫病と世界史』(上・下)中公文庫)。その延長上で、現在、人類は病原菌にからむ新たな脅威に晒されかねないようである。デング熱、チクングンヤ熱、致死的な熱病の発生であり、再来である。従来、これらはいずれも、アフリカ、アジアで見られる、蚊が媒介するウィウルス感染症として知られていたが、問題は、以前には認知されていなかった地域でもその発症が報告されるようになったことである。
たしかに人類は蚊との闘争において、殺虫剤その他の改良策により、この百年ほど明らかに優位にあったと言う。しかし「この数年、その進歩は停滞的になってきた。それどころか、それは反転してきたのである」と言われるに至っては、なにか底知れぬ恐怖を覚えざるを得ない(ニューヨークタイムズ(10/4・水)より)(以下次回)。
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