2022年03月09,11日

3月9日・水曜日。晴れ。
3月11日・金曜日。晴れ。寒気ゆるむ。例年、開花時期が取り沙汰されるのも、この時節である。

 

わが国のコロナ感染は高止まり気味で、いずれピークを迎えようが、ウクライナの戦闘はますます熾烈。かの地の悲惨はまだまだ続く。欧米の対応は、ようやく実効性を見せ始め、露軍の侵攻は停滞し、金融制裁はロシアを債務不履行に追い込もうとしているとは、本日(3/9)午後の報道である。プーチンの読み間違い、失敗が、ニューヨークタイムズあたりでしきりに書き立てられてもいる。
それに対して日本政府の対応は、まだ腹が座っていない。サハリンでの天然ガス開発事業でも、シェル、エプソンは早々に撤退を決定したが、政府はエネルギー資源の多角化と、ロシアの地理的な経済性を理由に、出来ればこの事業の継続性を願っているようである(ジャパンタイムズ3/10の記事より)。加えて、北方四島の交渉もある。これらの問題を抱え、日本は自らの意思をもって、積極的に反ロシア政策をとれず、こわごわ欧米を後追いするばかりのように見える。なお、資源開発事業は、おそらく米からの圧力を受け、撤退に追い込まれるであろう。
以上の政府の対応は、少しでもロシアの印象を良くしたい、せめて反感は弱めたいとの思惑に駆られてのことであろうか。そんな姑息が通用する相手でないことは、先に日本もまた非友好国のリストにくわえられたことでもはっきりしている。ことに北方四島は、これまでの方針では見込みがないことは今や明白となった。新たなアプローチ、戦略を構築するほかは無かろう。戦後77年も経て、この状況である。今さら急いたからとて、どうなるものでもない。子孫のためにも必ず取り戻すとの決意のもと、世界を巻き込み、息の長い構想を立てるべきではないか。要するに、ここでは四島問題は、一度わきに置き、世界と共に、ウクライナ問題に真剣に、断固として向き合うことだ。それこそ、世界からの信頼、いざという時の支援となるのではないか。
筆者がこう言うのは、ロシアという国の度はずれた奇怪さの故である。かつてヒトラーが、嘘は大きくつけ、そしてつき続けよ、それはやがて真実になる、と言ったというが(前掲『ヒトラーとスターリン』より)、プーチンはまさにそれである。ウクライナ侵攻前に、彼はウクライナ国境への10万人を超える軍隊の集結を、単なる演習であり、ウクライナを侵攻する意思はないと言い続け、欧米の懸念を過剰反応だと揶揄していた。だが実際は、「1年以上前から侵攻を綿密に計画し、征服を視野に入れた何段階もの戦略を用意していた」ものであった。朝日新聞(3/2・水)はそのことを、英王立防衛安全保障研究所の特別報告「ウクライナ破壊の陰謀」(2/15発表)によりながら報道している。以下は、担当のワトリング主任研究員の言である。
「第1段階では、侵攻をちらつかせつつ、交渉によってウクライナから主権の一部を奪おうとします。第2段階では、現在のウクライナ政府を転覆させ、傀儡政権を樹立する。第3段階では、ロシアが自らウクライナを占領する。現在はこの方向に向かっています。キエフ郊外にロシア軍が拠点を築ければ、応援部隊が次々と来て、首都突入となるでしょう」。事態はその通りになっている(以下次回)。


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