2021年6月7日

6月7日・月曜日。晴れ。過日捻った川柳が、わが脳髄を刺激したのか、またもやこんなのが浮かんだ。どこぞの新聞社の月間大賞級の出来だと自惚れて、以下に掲げたい。

かの国はせめて成りたや象にでも

チト訊くがゴミ焼き場かな大気圏    みつお

無許可、無届のデモ行進も、象ならば、催涙弾や逮捕も無いばかりか、酒や好物の食事まで用意されるほど歓待されるらしい。またわが国の原発処理水の海洋放流の決定に対し(これは地元漁師にとっては許し難いところであろうが)、あちらは公海を下水道やごみ箱代わりにするなと、仰りながら、ご自分は打ち上げたロケットの残骸を大気圏で焼却した上、安全上問題ないと宣う。ご自分は全て正しく、他者の言は間違いとは、かつて、君子の道を説かれた方の子孫とは、とても思えぬ振る舞いではないか。

 

前回(6/4・金)、本欄で、世界的な規模での人口減少が予想されると記した翌日、それを追うようにして朝日朝刊が、わが国の昨年度の出生数は戦後最小の84万人と報じ、さらに「海外でも出生減の傾向」が見られると指摘していた。但し、これは昨年以来のコロナ疫病の人口動態に対する影響を言うに過ぎず、特にその長期的傾向を見ようとしたわけでないことは、言っておかなければならない。

むしろここでは、中国政府が最近提示した、3人目の出産を認める「中国の驚くべき決定」(ジャパンタイムズ・6/2)と言われる、人口政策の大転換こそ、当局の将来的な人口減少への危機感を示した点で、興味深い。と言っても、この対策は何を今さらといった感は否めず、「あまりに小さく、遅すぎて、減少する出生率や縮小した労働力の回復には至らない」と、記事は突き放すのであるが。

先に、人口減少の大枠を示すものとして、生活水準の向上と女性の高学歴化を言ったが、ここではもう一点、生活の都市化を加えなければならない。都市は就業の機会に溢れ、その他様々な魅力もあって、地方から人々が蝟集してくる。こうして、「2007年、人類の歴史上初めて、世界全体で都市人口の比率が地方人口の比率を上回った。現在の都市人口の比率は55%だ。2050年までには全人類の3分の2が都市に住む」(前掲書、218頁)ようになると言う。だが、「都市化は人口減少を引き起こすのだ」(219頁)。その理由は、明らかだろう。限られた空間では、家族は縮小せざるを得ず、利便性の高い生活には費用がかさむ。等々(以下次回)。


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