2020年11月27日,12月2日

11月27日・金曜日。曇り。早稲田までの車中でこんな戯れ句(川柳のつもり)を捻った。

コラコロナ 窓を降ろして 風邪を引き ミツオ

GoToの 面子にこだわり 院潰し  ミツオ

12月2日・水曜日。雨。ついに師走。3、4年ぶりに路上の易者さんに手を差し出した。定期的にそんな気持ちになる。悟った心算で、何かに縋りたいオノレが情けない。そして、ご託宣。「あなたは株には向きません。地道におやりなさい。」道理で損ばかしして来たはずだと、妙に得心する。易には、我が体験では、嘘八百ではないある信憑性がある、と思う。見料、2000円なり。

 

「大きなお星さまあるねぇ」とは、前回の記事にある2歳の男の子の呟きである。これまでは、都内の駅前タワーマンションに住み、ネオンや街灯のともる街の明るさしか知らなかった。それが一転する。赤城山のふもとに位置する、黒保根町(桐生市)の水田に囲まれた平屋に移り住むことになった、その当日の夕刻である。ふと見上げれば、青みがかった天上にははや一番星が浮きあがり、次第にその数を増す煌めく星の大きさに思わず見惚れた。夜空とはこういうものであったかと、感嘆したのであろう。その詩情は天空の星々と語り合った賢治のそれに繋がるものがあったのかも知れない。それまで「長男が「星を見た」なんて語ったことはなかった」とは、父親の言葉である。

コロナ禍にあって、幸いにも若い両親は共にテレワークの可能な職にあった。だが、その在宅勤務中には、長男は玩具代わりのタブレット端末を相手に、一人動画を追い続けるばかりであった。転居の転機はこれである。「移住の決め手は子育て。息子は図鑑や動画でしか見たことがなかったトンボやカエルを追いかけ、家のまわりの田んぼで取れた新米のおにぎりをよく食べる」。

群馬県は、こうした移住を考える家族の後押しをと、「リモート県」を銘打ち、テレワークのできる環境づくりに動き出したようだ。と言って、転居がそれほど簡単でないことも確かである。そのためには、相互に納得できる条件が整わなければならない。それでも、記事によれば、東京への転入者から他県への転出者を差し引いた人数は、今年5月、9年ぶりにマイナスに転じ、その数509人を示す。さらに7,8,9月も引き続き、それぞれ2千から4千人の転出者オーバーであったと言う。

言うまでもなく、コロナ感染の影響である。だが、大都会から地方への転出のメリットとは何だろう。月並みだが、上記のように圧倒的な自然環境がまず挙げられよう。過密を避け、様々なストレスから解放される。ときに過酷な自然に煽られながら、それ以上の慰楽がある。さらに、現在では衣食住の生活環境は、ひと頃からは格段に改善され、情報、医療、教育関連もIT・交通等により格差は縮小しつつある。過疎ゆえの居住環境は都心とは比較にならない。安価で、広い。これは、わが国ばかりか欧米の傾向でもあり、それゆえの地方転居も多いらしい。

唯一の難問は、経済格差と富の都心への偏在だろう。この解消を図る政策こそ、腹を据え、真剣に取り組んでいかなければなるまい。それは言うまでもなく、本欄でも見てきた地方再生への取り組みとその政策化に他ならない。それは同時に、コロナや未知の疫病からの有効な回避策になると信ずる。この度のコロナ禍がもたらした惨状に少なからぬ意味があるとすれば、これによって地方回帰への契機が与えられたことかもしれない。記事は言う。「一極集中の解消は、地球環境と経済活動の調和をめざすSDGs(持続可能な開発目標)が掲げる「住み続けられるまちに暮らし、働きがいのある仕事に就く」の実現に向けて、追い風になりそうだ」(以下次回)。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です