2018年10月5,9日

10月5日・金曜日。雨。過日、仕事で久しぶりに金沢市に行く。金沢城を中心にした保存と開発の街造りから多くを教えられる。本稿のような問題を抱えていればこそ、そのような所に目が向いたのであろう。

10月9日・火曜日。晴れ。

まず、SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略字であり、「すべての国連加盟国が2030年までの達成を目指す、貧困や教育、環境など17分野にわたる目標」と説明される(なお、政府のこれらに対する対策は「持続可能な開発のための2030アジェンダと日本の取組」http://www.mota.go.jpを参照)。その内、両町の活動は、特に森林の持続可能な利用と経営を通じて森林資源の荒廃や枯渇を阻止し、こうして環境を保全しようとする分野に属するが、同時にこの活動はそのまま町の再生にもつながるとしたのであろう。と言うよりも、町の再生には政治や行政の動員力を考えれば、SDGsは強力な梃子になりうる。であれば、これを積極的に利用した町造り、と言った方が適切であるかもしれない。

では、その具体的な取り組みとは何か。上記のように、両町は北と南に位置するものの、いずれも消滅すら意識せざるを得ない山間の町である。人口は下川町3340人(平成30年)、小国町7420人(平成29年)であるようだ。両町に有るのは森林ばかり。下川町は、町域の90%がトド松、カラ松の森林で占められ、小国町の場合は8割と言う。多雨多湿のお陰か良質な小国杉が育ち、さらに当地では、杖立温泉のような湯治場も開けている。

わが国の林業が立ち行かない、と言われてすでに久しい。安価な外国産木材の洪水的な流入に押されたためである。山から人が消え、間伐もままならず、山は荒れた。両町もその例に漏れない。殊に下川町(以下は同町のみ触れておく)では、頼りとした下川鉱山、三留鉱山の閉鎖(1980年代)がさらに苦境を増した。こうした中で、同町はすでに1950年代から林業を産業基盤にしようと、町有林を買い増し、林道等の整備に取り組んできた。かくて、「町は森林資源を守るため、植林→育成→伐採を60年で一回りさせる「循環型森林経営」という手法」を確立させた。

それに至る道が平坦でなかった事は、上記の通りであるが、ともあれ現在は下記のような状態を維持するまでになった。「切り出した木はすべて使い切る。」それは製材、木炭、ガーデニング用品、殺菌剤用の木酢液の抽出にいたる。森林バイオマスによる熱供給は、現在、11基のボイラーを稼働させ、役場、学校等に暖房や温水を供給し、灯油に比して年間予算の1900万円を節減させた。さらに地元の資源による「熱の自給率は公共施設で約7割、町全体で5割にのぼる」。他にも「森のある暮らしを求めて移住者」がふえ、昨年度は転入者が転出者を21人上回った。確かに、こうした結果が「地域の資源を上手に使って外から人を呼び込むことで、町の持続性を高めている」と言えるほどの成果として誇れるものであったかどうかはともあれ、しかしここには町再生にむけた多くの示唆があることは確かであろう(ここでは割愛したが、小国町の場合も考え方や論理は同様であると見たい)。


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