2020年5月22日

5月22日・金曜日。曇天。昨日は冬日のような寒さであった。

 

例えば、次の記事を読んでみよう。「米の死者 世界最多迫る」(朝日新聞・4/12・日)では、この時点での死者数は1万8千人強、その内の4割がNY州であり、それ故知事は「理解超える」事態と呻いたのである。中でも深刻なのは、「黒人らの死亡率」の高さであり、この事情は他州でも変わらない。そして、ワシントンポストの分析によれば、黒人の多い郡のコロナ感染率は他に比して3倍、死亡率は何と6倍にも達すると言う。そこに存する厳然とした「社会的格差」の故である。

「黒人は都市の中心部に住んでいることが多く、公共交通機関を使う頻度も高いため、人との接触は避けられない。また、普段から医療が十分でなく、貧困が原因となる糖尿病や心臓病、ぜんそくなどの基礎疾患を持っている割合が多い。レイ氏(ブルッキングス研究所研究員―筆者注)は「彼らが不摂生というわけではない。身の回りに健康でいるための資源が不十分なのだ」とコメントする。/職業も関係する。米国はマイノリティがバス運転手や食料品店の店員、ビルの管理人など、社会を支える「必要不可欠な職業」についている割合が高い」。

わが国の状況も同じである。朝日新聞4月22日・(水)(夕刊)には「生活支え手 疲弊」の見出しと共に「コンビニ店主「感染、明日は我が身」」の文字が刺さる。スーパー、コンビニ、ドラッグストアが該当する。

特にスーパーについてのコメントが悲痛だ。都が外出自粛を要請した3月下旬には、買いだめに走るお客の対応に追われ、疲弊の度を深めている。切れ目ない商品の配列、品揃え他、ビニールシートで遮断されたレジでは、お客の声が聴きずらく、つい顔を近づければ「近づくな」と怒鳴られ、在庫の有無を聞かれ「無い」といえば、「探してもいないのになんでわかる」となじられる。殺気立つ客の理不尽さには、わが身を含めて顧みるべきだが、スーパー協会の担当者の言葉には身がつまされる。「スーパーは人がいないとやっていけない業種。当たり前の存在ではなくて、緊急事態の中で食品を切らさないように日々頑張っている。そういうことをお客さんには理解してほしい」。

それにも増して深刻なのは「派遣・契約社員「やむなく出社」」、「身重でも在宅許されず 国は介入及び腰」、「新型コロナで訴え相次ぐ」(朝日新聞4/27・(月)朝刊)の記事である。殊に出社に難色を示した妊婦の訴えに、「契約終了におわす相談窓口」の扱いがいかにも「ぞんざい」であったとの一文は、派遣・契約社員の在り様とその弱さ、それゆえの嘆きを改めて突き付けている(以下次回)。


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