2019年9月13日

9月13日・金曜日。曇り。夏季休暇が終わり、理事会始動す。よって、今週はかなり多忙であった。本日で前2回の論題を締めたい。

 

アマゾン流域破壊の第3の問題点は、同流域への不法入植である。この地帯には9か国が関わると言うが、そのいずれも当局の監視が届かない遠隔地になるほど、農地を持たない農民たちの不法な占拠が野放しとなり、やがては農地占有権の承認を要求するにいたる。その結果、農地や放牧地のための野焼き、焼き畑に歯止めがなくなる。それ以上に問題なのは、政治家や土地開発業者の「出来るだけ広大な土地を我が物にしようとする貪欲」である。彼らの狙いは、こうして得た土地の販売であり、「投機」利得そのものである。

「非公式な土地市場や公的な未利用地の私有化に対する公的機関の規制の欠如が、こうした現象を生みだした」とは、コロンビア保存・持続開発財団のロドリゴ・ボテーロ氏の言である。それでも、環境主義者からの圧力はあって、ボリビア政府は投資規制を目指して、火災破壊による土地販売の禁止条項を打ち出し、「環境保護的なポーズ」を宣言せざるを得なくなった。だがこれは、「当局の承認の許、この5月以来、すでに120万㌶の草原、森林を火災で焼失」した後では、すでに後の祭りと言う他はない。こうして、例えば家具や器具材用には最良のマホガニーは乱伐もあって、消滅の危機にあるらしい。

どうであろうか。以上3項目を一読するだけでも、広大なアマゾン流域の熱帯雨林が広範囲にしかも急速に消滅の危機に瀕している様が察せられるであろう。それが失われることによる地球規模での温暖化への影響を考えれば、何か暗澹たる思いに陥らないであろうか。これに加えて両極の氷塊の流失もある。そう言えば、今年の夏の暑さは尋常ではなく、連日のように50年、100年ぶりの熱暑と豪雨の記録を聞かされた。しかし、これらを読めば、それは単に始まりに過ぎないらしい。今後は一層その度合いを増し、ついには生命全体が日照りと干ばつと飢餓の中、のたうち回るような責苦を受けつつ滅んでいく、そんな事態に追い込まれるのであろうか。

だから、アマゾン流域諸国が悪い、と彼らを断罪するのが、ここでの我が趣旨ではなかった。地球環境の破壊と温暖化を今日までの事態に追いやった第一の元凶は、先進諸国である。18世紀の産業革命以来、先進諸国は科学技術を進化させ、それを駆使して、地中からあらゆる物質を掘り出し、豊かな生活の名の許で二酸化炭素を地表上に放出し、今なおそれを止めようとしない。

発展途上国が開発された技術に着目し、自らの国土に眠る資源に目覚め、先進国が追い求めた豊かさを追求するのを、誰が咎められようか。しかもその支援を、先進諸国の大資本が買って出ようと言っているのだ。彼らからすれば、今更勝手なことを言うな。国家主権に介入するな、これがブラジル大統領、ボルソナーロの言い分であろう。現にそれに近い言及は同日のTheJapanTimesの「何故、ボルソナーロは外国支援に慎重なのか」の記事にある。

そこで筆者の結論はこうである。アマゾン流域の熱帯雨林が「地球の肺」と言われるほどに重要であり、掛け替えのないものであるならば、世界諸国がその使用料、恩恵の対価を経済力に応じた比率に従って支払う制度を創設し、同時に雨林に手を付けずとも発展しうる持続可能な経済的・技術支援の対策を講ずることである。勿論そこでは、主権国の主権と主張が十分尊重される体制が取られなければならない。恐らく、その仕組み作りは他の途上国の支援の在り方にも役立つはずである。今や、世界は一国だけの発展、繁栄を追究出来る時代ではない。それを目指すには、地球の諸事象は世界中に波及し、いずれの国もそれを免れることは出来ず、各国の行動は直ちに他国に連動すなど、諸国は緊密に繋がり、一体となり過ぎてしまったからである(この項おわり)。


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