2019年8月27,29日

8月27日・火曜日。曇り。蒸し暑し。承前。

8月29日・木曜日。曇り。蒸し暑し。本日は、前回の文章の内、後半に手を入れたに過ぎない。

なお、今日は良い日であった。テレビコマーシャルに乗って、ハズキルーペを手に入れた。松本清張全集(文藝春秋版)の活字があまりに細かく、老眼鏡も歯が立たない。10分も読めば眼球の奥が痛み出す。底樋(そこひ)になるのでは、と訴え出ると、「ナムサン」願いは届いて、天から降るように上手くいった。使い心地については、いずれ報告の予定である。

 

そもそも気候変動の議論は、念入りな統計データに基づき、正確ではあろうが、抽象的に過ぎ、しばしば素人には退屈で分かりにくい。だからこそ、「氷河の消滅を記念した式典は、現在われわれが直面している事態を十全に理解させるに格好の方法である」、こう式典の意義を説くのは、ライス大学の人類学者・C.ハウ助教授である。また、別の研究者は言う。「日々の気候変動は人間の尺度から見れば、緩慢に過ぎて実感できないが、地質学の基準からすれば、非常に速い」。まだ先があると思っている間に、取り返しが付かない事になる。

例えばこうだ。1890年には、当地の氷河は16㎢であったものが、2012年には0.7㎢にまで縮小し、2014年、これは最早「生きた氷河にあらず、死せる氷に過ぎず、と決定したが、氷に動きがないためでる」。と言うのも、氷河と認定されるには、「氷と雪の容量がその重量によって動かざるを得ないほど厚く、それはほぼ4,50mに達し」ていなければならないからである。この結果、温暖化がこのまま続けば、2100年には世界遺産となった氷河のほぼ半分が消滅する、とは国際自然環境保護同盟の試算である。こうした喪失が如何なるものであるかは、ヤコブスドッディル首相の警告から明らかである。「われわれの再生可能エネルギーの大半は、氷河において生産される。…その消失は人類のエネルギーシステムに影響を及ぼすであろう」。

このところ、我々はアマゾン川流域に広がる熱帯雨林の巨大な延焼に直面し、深い衝撃を受けている。当地帯が地球の「肺」、ラジエーターと言われて久しい。二酸化炭素を吸収し、酸素を送り出すからだが、こうして地球全体の生態系や気候の安定化にとってかけがえのない地帯となっている。しかし、ブラジル政府の開発意欲はやみ難く、そうした姿勢が不当な伐採、焼き畑を招来し、今回の事態の一因に繋がったとの報道がある。

さらに、南極大陸では中国が氷厚千mを突き破る技術を開発し、大陸に眠る膨大な資源に食指を動かしているとも読んだ。中国にとって南極は、今や利用すべき「宝の山」となったが、これは「保護すべき自然遺産」とする世界の共通認識に対する挑戦である。他方、北極圏では、米・中・露の巨大大国がグリーンランドやアイスランドの資源や軍事的意味に着目し、開発への意志を強め、強引に乗り出してきたようだ(朝日新聞・朝刊、2019/8/26)。かくて地球の将来は、予測不能な途轍もない危険地帯へと放りだされるのであろうか。


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