2019年8月2日

8月2日・金曜日。晴れ。焦熱地獄は続く。危険なほどの熱さとは、我々は如何なる科(とが)からコンナ処罰を受けなければならないのであろうか。

 

西南極にスウェイツ氷河、パインアイランド氷河なる巨大氷河があるそうだ。恐らく、この氷河のいずれかであろう、海上に押し出され、巨大な氷塊が次から次へと崩落する映像は、筆者も何度か映画やテレビで観たし、その圧倒的な崩落に息を呑んだ覚えがある。

最近、この両氷河が、目の離せない観察対象になっているとは、Wikipedia(Thwaites Glacier)にもあるが、これによれば当氷河の流れが加速し、その頂上は低下し、陸地との接地点が後退して来たからである。

そこで、ジャパンタイムズは言う。これら氷河が極地を覆う氷冠(ice sheet)は全て解ければ、地球海面を優に6m上昇させる程だが、因みに1mの上昇によって1億9千万人の移住を強いるし、3mではニューヨーク、上海、東京を含む世界のメガシティを危機に陥れる海水量と言う。しかも、両氷河はこのままいけば、パリで合意された、上昇温度は2度以下に抑えると言う温暖化抑制策を取っても(実際には、米国の撤退によりそれすらも実行されない様相なのだが)、もはや時すでに遅し。後戻りの出来ない溶解点に達し、結果は3mの海面上昇を惹起する可能性があると、研究者等は危機感を募らせているのである。

彼らはこうした惨害を回避しようと、例えば微粒子の空中散布により、CO2の地中への回収を図るなどの案を考案する。しかしそのいずれも、人間を含めた生物や気候にとっての有害性が問題となる始末である。こうしてたどり着いたのが先の巨大砲案であった。

それによれば、氷海を吸い上げ、氷河の頂上に散布し、氷河のこれ以上の消失を阻止しようとするものである。それが、いかに奇怪であるかは、考案者であるドイツの研究者、アンドレス・レーフェルマンの言葉からも明らかである。「こんな事をするなど、おぞましいし(a terrible thing)、われわれは決してこれを推奨しない」。「だが、どんな物理的モデルを採用しても、パリの気候条約を遵守した上で、結局は5mかそれ以上の海面上昇を免れられないであろう」。そして、彼のシミュレーションによれば、少なくとも7.4兆トンの降雪(それはジャンボジェット機15万機分に相当する)によって氷河の安定が図られるとのことだが、そのためには計り知れない費用に加え、何百台もの大砲、コスタリカ程の地域の降雪を要するらしい。さらにその結果がもたらす南極への影響はこれまたterribleだと言う。他にも何棟かエッフェル塔級の塔を建て、氷棚を積み上げるとか、高さ100m、距離100キロの堡塁を造り、温水(?)の氷冠下部への浸透を防ぐなどがあるが、どこまで本気で、何処から冗談なのか不明な、提案者自身クレイジーと言って憚らない案に至っては、呆れかえる前に、笑うしかあるまい(この項終わり)。


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