2019年7月11日

7月11日・木曜日。雨。近頃、暑さがとみに堪える身にとっては、夏とは思えぬ肌寒い日々を良とするが、さすがに夏空が見たくなってきた。あと2,3日で梅雨明けとの報道あり。

 

イサカもまた、度外れた石油開発の機運に対して厳しく反抗し、ついに環境を死守したと、クラインも評価している。その中心になったのは、先住民のとりわけ祖母の世代の女性たちであった。そして、ここでの闘いで先ず守られるべきは、やはり当市の豊かな水系であった。そのもとに、「森の街」イサカが誕生するのである。

そのような環境の中で創られた街は、すでに示したように(242頁)、周辺市域と連携しながら、基本的な生活は十分維持される街であった。当市の経済はその中でほぼ自足し、だから大都市の経済圏に必ずしも依存する必要がない。

そのためには、食は地元産食品を優先し、こうして地産地消のシステムを成り立たせた。これはただ地域農業の支援策に留まらず、すべての住民に健康な食品を提供することでもある。これを可能にしたのは、まずは化学肥料の使用を制限し、食品破棄物を統合的に管理し、「ゴミゼロ」を目指して「ゴミを黄金に変える」「黒い黄金―堆肥化」の取り組みであった。ここにイサカが自らをエコビッレジ(「自然に即した村」と言ったほどの意味か)と呼ぶ理由もあろう。

しかし、エコビッレジの理由はそれに止まらない。ソーラーシステムを駆使した住宅や共同住宅は、二重窓や気密性の高い建築技術と相まって、燃費効率の良い、夏涼しく、冬暖かい住居を可能にした。さらに小型の街は巨大エネルギー装置を必要としない。水力、ソーラー、風力発電でエネルギーは十分賄える。さらにこの街は、小なるが故に「すべてが徒歩圏内の街」に向けて、交通手段は自転車や公共の交通機関を主とし、脱・自動車社会を目指しているかのようである。市圏はそれを意識して、その拡大化を排し、ここに「暮らしやすい街」が誕生する(以下次回)。


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