2018年11月2,6日

11月2日・金曜日。晴れ。本日より本論に戻って、10月9日・火曜日の論述に繋げたい。ほぼ一か月の思考の中断により、話の接ぎ穂を得るに、当方にもやや戸惑いあり。

11月6日・火曜日。雨。本日、世界が固唾をのむアメリカ合衆国の中間選挙の投票日である。トランプ大統領の2年間の政治的成果が問われ、その結果は全世界に対し甚大な影響を及ぼす。諸外国がこれほど注目する選挙は、近年希ではなかろうか。なお、前回の文章にかなり手を入れた。

 

私がこの記事に惹かれたのは、ここには「人口減少時代のまちづくり」のヒントなりエッセンスが詰まっていると感じたからである。以下それを要約しておこう。

1.地域の自然資源の徹底的な活用が先ずあげられる。両町の場合、それは森林から切り出した豊富な樹木である。建材や各種木工用の製材加工から木酢液の抽出さらにバイオマスとしての活用などである。特に下川町では、そうした取り組みから温水や暖房用の熱源を引き出し、少なからぬ予算の節減をみた。のみならずシイタケ栽培が軌道に乗り、大手製紙会社の薬用植物研究所を発足させたようである。

2.域内での生活に展望が開けると、自然の中の暮らしに惹かれた移住者が見込まれるばかりか、現に「昨年度は転入者が転出者を21人上回」る成果を見た。この点を評して、国谷裕子氏は言う。「地域の資源を上手に使って外から人を呼び込むことで、町の持続性を高めている」。

3.こうした域内資源の地産地消をベースにした経済的仕組みを整える事で、地域は基本的な経済的自立への道を歩み始める事が可能となる。この事の意味は重要である。周辺都市圏への不必要なまでの依存が縮小され、都市経済の事情に左右されにくくなるからである。そうした町の意志と覚悟は、三井物産の子会社が提案した大規模なバイオマス発電への協力を拒否した町議会の姿勢からも明らかである。これを受け容れれば安価な熱源の購入が見込まれたのにである。反対派によれば、「これまでの地域に根ざした仕組みが取って代わられ、町内で利益が回らなくなる」との危惧があったからである。つまり、会社提案にのれば、町は結局会社に依存せざるをえないことになり、そこから上がる利益は町には還元されないこともあり得る。のみならず、経済事情によって、会社の撤退と言った深刻な場面に、町は逢着するかも知れない。

4.最後に、これら一連の取り組みは、全て住民を主体にして実行されたことであり、その重要性はこれまでも様々な地域のリーダー達によって異口同音に語られたことであった。ここでも当プロジェクトに反対した町議は言っている。「住民といっしょに将来を考える必要がある。今回こういう形で立ち止まったのだから、対話を積み重ねたい」。

以上の項目に5.地域の歴史・風土、すなわちその地域が今日に至った成り立ちと、この点と重なるが6.文化性を加えれば、「町づくり」についての考慮すべき基本的な論点は摘出されたことになろうか。ただしこの点は改めて考えてみなければならない。


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