2018年9月18日

9月18日・火曜日。曇り。夕刻には昨日に続きゲリラ雷雨の予想あり。前回の文章に手を入れ、本日は鉄道支線廃線に関する賛否両論を付す。よって本注、やたらに長くなる。

 

上記の鉄道存続論に対しては、当然、賛否の両論があり得る。朝日新聞・オピニオン欄(平成30/9/11/火)には、こうある。まず賛成論としては、「路面が凍結する真冬は特に、鉄道をはじめとする公共交通機関が頼り」であると共に、日本の宝とも言うべき北海道の観光資源を生かすためにも「点在する地域の魅力」を繋ぐ鉄道の保全を願うとする。

他方、JR再編による鉄道存続論は、すでに歴史的使命をおえた北海道の鉄道に対する「ノスタルジックな願望」に過ぎず、よって本論は「JR他社の利益移転を求め、赤字鉄道を存続させる」ばかりで、「将来世代に対して無責任」な「愚策」とするものである。例えば首都圏を見てみよ。ホームの転落防止策、満員電車の解消、老朽施設の更新等と言った課題は山積しているではないか。北海道ばかりか、どこであれ、赤字路線の存続はそれらに必要な資金を吸い上げてしまうであろう。であれば、北海道の鉄道対策は、「増えるかどうか不確かな観光客や他人の財布を当てにした延命措置」にあるのではなく、「遠距離は空路と高速バス、近距離は高齢者の通院・買い物支援の地域バス等の充実」であるとする。

こう見ると、両論の説得力の優劣は歴然としているように見える。一方はノスタルジックな夢物語りに立つのに対し、反対論は現実の問題にシカと向き合っているかのようであるからだ。夕張市の廃線政策もこうした線上で決せられたのかも知れない。しかしここにあるのは、市内住民への視線だけであり、原氏の指摘の通り、その限りでの合理性でしかない。インバウンドの発想は希薄、と言うより皆無に近い。何しろ、来るかどうか覚束ない観光客の財布を当てにするような対策、とまで言われるのだから。だがかような主張は観光業のみならず、ひいては商業活動そのものの否定に繋がりかねないのではないか。商業とは、所詮は他人の財布を当てにする営みであろうから。

すでに見てきたように、地域の活性化は、地域を閉ざした形でやりとげることは、まず難しい。殊に、住民の減少と高齢化と言う二重の圧力にさらされ、縮小化への危機が迫る地域の場合は特にそうである。その流れに対抗し、これを転換させる政策、妙案など、そうザラに思いつくものではない。だから安易に、中央から産業を呼び込み地域の活性化を図るのだ、との主張だけは願い下げである。これまでもそれに類した対策を必死にやって来た挙句、ただ今現在の地方があるのではないか、と言いたいからである。もはや地方が求める道はそれではなかろう。


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