2018年7月24,27日

7月24日・火曜日。猛暑。言うべき言葉も無く、ただただ、気息奄々なり。

7月27日・金曜日。薄曇り。暑さやや和らぐ。とは言え30度を越える。

 

牛歩の歩みながら、前回で一応「1章」に始末をつけた。であれば、直ちに「2章」に進むべきところ、今少し留まって、これまでの叙述に補注を付しておきたい。

(1)、市町村の過疎化に伴い、インフラの維持管理の問題が極めて深刻であるとは、すでに触れたが、最近、水道事業について以下のような記事が出た(朝日新聞朝刊・2018、7/18、(日))。

水道事業は原則的に「市町村が経営する」と水道法に定められており、施設の管理運営は独立採算制のもと各自治体に任されている。人口の増大から減少に転じていった市域では、市の拡張期に拡大した水道施設の維持に加えて、耐用年数40年と言われる水道管の更新の問題が迫ってきている。各地で頻発する水道管の漏水、破断はその前兆であろう(因みに2016年度の基幹部分の水道管耐震適合率は40%未満と言う・浦上拓也近大教授)。

言うまでも無く、管理運営の諸費用は利用料金によって賄われるが、人口減少は必要経費を担保しない。また、水道料金は基本料プラス従量料金(使用量に応じて料金が加算される)の合計であるから、生活の縮小を伴う高齢化の地域では、使用される水道量は漸減する傾向にあり、基本料金内で収まり、それだけ事業収入の減少は不可避であるばかりか、それは加速度的に進むであろう。その結果は、水道事業の縮小から従業員の解雇、すなわちそれはその地域に根ざした技術者や技術の継承が途絶されるという一層深刻な問題に至るであろう。

ライフラインに関わる施設は何であれ、一度建設されるとフル稼働しなくとも、必ず維持されなければならない。それに繋がる人々の生活が不可能になるからだ。特に地域の中心から外れた遠方の生活者にとっては、それは最後の命綱に等しい。だが、これに掛かる膨大な経費はどうする。こんな話がある。雪国では市町村道1キロの維持は年間90万円になるようだが、例えばメイン道路から「5キロ入ったところに高齢者が一人で暮らしている場合、その人のためだけに年間450万円の支出」に加え、「ごみ収集や水道管のメンテナンスの費用」も掛かる。こうした経費を「正当性ある行政サービスの一つ」だと言い切るには、様々議論がありそうだが(前掲『縮小ニッポンの衝撃』169頁)、それ以前に、既述の通り、自治体にはそれほどの余力はもはや無いのである。

水道施設についても、事情は同じ。諸課題に対応する経費は水道料金ではとうてい賄えず、自治体がそれらを引き受けることは出来ない。それに見合った料金の値上げをはかれば、相当の金額に跳ね上がるだろう。

それは特に小区域を対象とする公営の簡易水道(給水人口101~5000人を対象とする小規模水道であり、2018年度現在では全国に2千箇所ほど在在する)の場合に顕著である。というのは、施設の維持管理費に対する利用者の水道料金は小人数で負担する分、その上昇は避けられない。その他に、水質、水量、簡易水道施設の設置場所等の条件に応じて、管理費は変わってくる。事実、この場合の料金の地域差は顕著であり、例えば、最高額は千曲市樺平地区の6535円に対し、最低額の鹿児島県三島村300円(家庭使用量、月10トンの料金)との比較差は22倍である。これは極端な事例であるが、生命に関わる水道の問題は、それだけで転居能力のある住民の離散を招くのではないか。そして、これは水道に限らず、下水、道路、橋梁他生活上のインフラ施設の全般について言えることである。

つまり、生活基盤の劣化していく地域では、それ自体が住民生活の困難、不便に直結し、それが住民の減少と更なる基盤の劣化を来たすという悪循環を免れがたい。そうした循環の環を断ち切り、新たな再生への道をどう切り開くのか。これが本稿の課題であるが、しかしまだその方向は見えない。


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