2018年6月18日

6月18日・月曜日。雨続く。梅雨寒に重ねて寒し冷房車。

 

まず海潮地区の取り組みはこうである。当地区に運営組織が設立されたのは2005年のことであり、すでに10年以上の歴史を誇る。その間、活動を指導し、30の地区の中でも「優等生」とまで言われるほどに育て上げたのは、加本恂二会長であった。会長によれば、その頃、当地区は山間部に比べれば町にも近く、近在には職場も在って、地区の存立を心配する必要は、感じていなかった。しかし、実際には若い家族の松江市内への移住は続き、ある時「年寄りだけ残っていく感じが目に見えた。せめて減るスピードを抑えなければ、地域の存続は厳しい」。以来、この危機意識のもと、実に多様な対策をと取って来た。

田舎暮らし体験ツアー、U・Iターン交流事業、地区内の空き家情報調査、婚活イベント等々の移住者を呼び込む対策、活動を繰り広げてきた。加えて、共働き世帯の支援として、保育所を開設し、それまで地区外の保育所まで往復12キロの送迎問題を解消する。そのための保育士・補助者の雇用に必要な費用は、低廉な受益者負担金と不足分は「地区内全世帯からまちづくりのための費用として年間1000円ずつ回収して運用費用にあてた。」こうして「地域で子供を預かる」仕組みができ、多い時には年間延べ2360人余の子供たちが保育され、この事業は2016年市の認定こども園として引き継がれる。会長は言う。このような事業の積み重ねによって、「住民たちの地域への意識が年々高まっているのを感じ」、このような活動のある限り、「地域は元気だし、地方消滅なんて言われてもまだまだ可能性は広がっているし、打つ手」はある、と。

こうした広範な取り組みと、人口減少に対する対策だけでも年間400万円近くを投じて、10年以上の歳月を経た。そして、その成果はどうであったか。各集落を回って住民移住者の動向を調査すると、11年間で22世帯50名が移住し、その間400人以上の人口減少を見、40%以上の高齢化率であった。そこで、今後の地域運営の安定化を図るにはどれ程の移住者が必要かとの人口分析を、県の専門機関に依頼した結果は、まさに衝撃的という他はない。

まず人口数の安定には1、人口減少比の緩和、2、子供の数(少・中学生の人口予測)の安定化、3、高齢化率の下げ止まり、の3点が達成される必要がある。そこで、当地区の住民基本台帳を基にシミュレーションした場合、1、20代前半の夫婦3世帯、2、30代前半の夫婦(4歳以下の子連れ)3世帯、3、60代前半夫婦5世帯の計11世帯の移住が、毎年確保されることという結果であった。これはこれまでの成果に比して何とも厳しい数字、それどころか実現不可能な目標ではないだろか(以下次回)。


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