2017年6月26日

6月26日・月曜日。曇り。九州地方、打ち続く豪雨禍にあり、関東は相変わらずの空梅雨。

かなり衝撃的な文章をお読み頂こう。凍傷の人体実験の様子である。

「実験は通常、夜間マイナス数十度の屋外で、裸の腕をマイナス数度の溶液の中に肘まで漬けさせる。溶液が凍りつく前に引き上げて、そのまま外気にさらさせる。外気の気温が高ければ扇風機で風を送る。こうして腕を凍傷に、すなわち腕の組織を凍らせた。腕の組織が凍っているかどうかは外見的にははっきりしない。…被験者の腕が完全に凍ったかどうかを確認するために、こん棒で腕を叩いた。鈍い音がすれば風を吹きつけ続け、乾いた音であれば、凍りついた完全な凍傷となったわけであり、新しい治療法を試してみた。」

それがどれ程の苦痛であるかは、つぎの一事から明らかである。この実験者はそのプロセスを自ら体験しようと、己が足の指一本を凍傷にしてみたが、苦痛のあまり卒倒したと報告する。その後これは完治する「きわめて軽度の凍傷」にすぎなかったのにである。

組織の凍結が凍傷であれば、その解凍は治療策であるはずだ。それには湯による解凍が「最良の方法」ではなかろうか。だがそれにはそれなりの手順、温度などの条件があろう。従来、凍傷はいきなり温めてはならないと言われている通りだ。では、それは如何なるものであろう。

こうして解凍の実験が行われていく。「温度が高いほど解凍は容易で、早いはずだ。しかしあまり高温では、組織が全部脱落し、骨が残るだけになってしまう。十度くらいから始めて四十度くらいまでは、解凍に必要な時間に長短はあっても問題はなく進んだはずだ。しかし、効率的な治療のためにはたとえ一度でも、高い温度の解凍が必要だ。その限界をどうしても見極めたい。だが五十度を越えると、腕の皮膚、そして肉が脱落していった。こうしたことには個人差がつきもので、四十五度でも組織の脱落が始まる人もいただろう。凍傷の「実験」あるいは「研究」を目撃した人は、片方の腕の骨が露出している」被験者が、「残った他方の腕を冷水に浸す、あるいは扇風機の風にさらすことを強制されるのを見ている」。

そうした陰惨な実験から、凍傷の治療には「体温程度の温水に浸すのが一番である、四十五度くらいまでは危険が少ないが、五十度以上の温水を使用してはならない」との結論がえられた。ここに至るまでに、どれ程の犠牲者が苦しめられたかを思うと、言葉を失する。同時に、人間は人間に対してこれ程までに冷酷、残忍になりうるものであると知れば、わが身内にも同じ血が流れ、同じ人間であり、ならば事情によっては同じ挙に出ると思うと、慄然とし、我ながら恐怖を覚える。

それにしても、これは誰による、誰に対する実験であったのか(以下次回)。


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