2016年12月21日

12月21日・水曜日。晴れ。いまだ賀状の準備無し。今日にも文案をと、少々心急く。また、昨日、ドイツのファラー家よりクリスマスカード来るも、当方はこの4、5年プレゼントのみにて返信せず。ただ、ドイツ語の手紙が面倒の故。文面には「昨年も、お前たちのことは何も聞かされなかった」とあった。数年前、彼は心臓の大手術をしたのにである。

今月の我が定期券(春日部―浅草)は数日前に切れていた。それは分かっていた。そして過日は、前からの約束で、東京に出かけなければならなかった。約束の時間は早や迫り、更新の暇も有らばこそ、パスモのチャージを使って、折からの特急電車に飛び乗った。それでも五分の遅刻。こうしたスリルと不安、相手への申し訳なさは毎度のことながら、一向にこの悪癖は治らない。小学校時代からの我が宿痾である。だが私は、プーチン氏の向こうを張っている訳で無いことを、ここで一言させていただく。少なくとも私には、氏とは違って、申し訳ないとの気持ちだけはあるのだから。

だがここでは、そうした悔恨のつれづれを記そうというのではない。パスモに貯められた金額の激減ぶりから、改めて交通費の高さに一驚した次第を述べてみたいのである。私の生計費は年金、クリエイトの給与プラスαで、有難いことながら他の高齢の皆様方よりは多少の余裕があるほうだと思う。その私が言う。公共交通機関の「料金は高い」と。往復で優に千円は超えてしまう。これでは、東京近郊の年金生活者は東京はおろか、県内移動もままなるまい。

東京住まいの友人に訊けば、都営のバス、地下鉄は無料だそうで、ここでも地域間格差は歴然としている。その他、医療、福祉等のサービスを挙げれば、高齢者が都心回帰になるのも当然であろう。私もかつてソンナことを言われたことがある。若者ばかりか、年配者も都心志向になれば一極集中と地方の疲弊は留まることは無かろう。その余裕のある年配者達が地域を去ればなおのことであろう。

こんな事を言えば、お前はまだ高齢者優遇を言い募るのか、と叱られるかも知れない。そうで無くとも、年金や医療ではやり玉に挙がっているのだから。しかし、私の趣旨は少々違う。高齢者を家や地域に逼塞させておく事の得失を言いたいのである。一定の収入しかなく、これだけの低金利時代では、「出を控える」他はないわけで、それは結局彼らの生活圏を狭め、様々な刺激を奪い、医療費ほかに跳ね返ってくるのではないか。

そこで私の提案はこうだ。働ける余裕のある人には、若者の職場を奪わない限りで職に就くことを支持するにしても、その他には公共機関の費用を全額とは言わないまでも、税金で補てんする仕組みはどうか。新幹線ではすでにシニアの割引制度があるが、日々の生活にまでそれを拡大するのである。30年ほど前の話だが、そんなアイデアが出されたことがあった。ラッシュと逆方向の交通費を半額にすると言うものであった。また通勤、通学時間以外の私鉄の利用率は、私の実感ではかなり低く、年配者たちに乗ってもらえば、街の活性化にも繋がるはずだ。巣鴨のあの賑わいを、より多くの街に広げたい。私の経験から言って、我々には時間だけはタップリあるのだから。交通を通して町と街を年配者たちによってつなぐのである。

これをもって、本年の「金子光男の手紙」の最終便とします。皆様方には、本年もつまらぬ手紙にお付き合い頂きありがとうございました(?)。来年もよろしくお願い致します。良いお年を!


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です